ささき動物病院

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イヌの心臓病について2心臓病

愛犬の心臓病については、具体性のある結果により確認されます。
獣医師が心臓病を疑い 治療までの過程では、検査が必要不可欠です。

聴診:心拍数の把握、特徴的な心音の聴取。徐脈、頻脈、心雑音の状態。

心電図:心臓の電気的な変化を測定する。不整脈など。

レントゲン検査:心臓の大きさ、肺の状態。心肥大、肺動脈の拡大等、心血管の状態。

エコー検査:心臓弁の動き、心筋の拡張、肥大、拘束等の内部状況の確認。

血液検査:心臓からの血流不足による腎機能低下。フィラリアによる血液循環障害。


治療については、代表的な疾患別に説明します。

うっ血性心不全: アンギオテンシン変換酵素阻害剤(血圧の安定)
フロセミド(利尿作用にて,肺と静脈にある過剰な液体を除く)
症状の程度により、ジギタリス、ジピリダモール、ベータ遮断薬、
抗不整脈、ニトログリセリン、必須脂肪酸、抗コルステロール剤。
セレン、ビタミンE等を、組み合わせて処方する。

拡張型心筋症:うっ血性心不全の投薬に準ずる。

肥大型心筋症:カルシウムチャンネル遮断剤。場合により、うっ血性心不全投薬に準ずる。

先天性心疾患:外科治療。動脈管閉鎖術。バイパス術。バルーンカテーテル挿入術など。

フィラリア肺性心:メラルソミンによる成虫駆除。その後、アスピリン、トラピジルによ る長期内服による抗炎症作用、抗血液凝固作用を期待する。 薬剤駆除が不適であれば、フィラリアの外科摘出。

いずれも、うっ血性心不全薬に準ずる こともある。

イヌの心臓病について1心臓病

愛犬の心臓病を認知するのは、漠然としたものがあります。いままで元気に散歩していた のを嫌がるようになったり、食欲がなくなってきたりします。心臓病の兆候が出てきたと きは、咳をするようになります。病気の進行が顕著になって、飼い主が動物病院へ行く動 機になります。心臓病は無症状のまま病態が悪化することが多く、飼い主も気が付かない 場合が多く見受けられます。ワクチン接種や、フィラリアの予防のときに行う定期検診で 獣医師の問診や聴診で確認されることが、しばしばあります。

よって、動物病院における各種予防処置は、単に病気の予防だけでなく、心臓病に限らず 各疾病の早期発見にも、つながります。定期検診を大いに利用しましょう。

さて、診断についてですが、重要なのは聴診です。心雑音や不整脈。徐脈、頻脈。肺音の 異常などを聞き分けます。異常があれば、心電図検査、画像検査(レントゲン、エコー)、 血液検査などをおこないます。

イヌの肥満について肥満

肥満は、体脂肪の過剰な状態であるといえます。
肥満による影響は、不活発、疲労、暑さに対しての抵抗力の低下。体重過重による腰、足の関節障害。心臓の負担の増大。不整脈。膵臓や肝臓への負担(膵炎、脂肪肝のリスクの発生)。真性糖尿病のリスク。呼吸器系の機能低下(肺の喚起能力の低下)。場合により肺の気管への影響(気管虚脱:空気の通過が困難になる)。免疫能力が低下し、感染に対して弱くなり、治癒が遅延する。生殖に関しては、難産、発情回数の減少、繁殖能力の低下などがあげられます。

肥満の確認は主観的なものによりますが、胸の肋骨が触れられるかどうか、腰部のくびれが確認できるかどうかが標準とされ、大きな目安となり判断します。これは、ボデイ、コンデション、スコアーと呼ばれ、5段階評価とし、3以上が肥満とします。1kgの体脂肪を燃焼させるには、7700kcalの消費が必要とされます。ですから、10kgの愛犬が9kgの理想体重にしなければならない場合は、単純に1日につき、摂取カロリーを100kcal減らしていくと77日間で、目標理想体重になります。また具体的な減量プログラムの計算式がありますので各動物病院で肥満を評価して、肥満傾向であれば減量プログラムを計画しましょう。

肥満は万病の元です。過度な運動は避け食事療法にて減量しましょう。

イヌの皮膚と被毛の手入れについて皮膚病

定期的なシャンプーやグルーミングは、愛犬の皮膚と被毛を健康に保ちます。また、皮膚や、被毛の異常を調べる機会でもあります。夏場など季節によってカットを変えるのも、よいでしょう。毛の多い愛犬は、短くカットすることにより快適になります。

今回は毛質によって、異なるグルーミング(毛の手入れ)方法を紹介します。

  1. ロングコート
    ラフ・コリーなどはスリッカーブラシで毛のもつれを防ぎます。十分なピンブラッシングの後、目の粗いくしをいれます。毎日ブラッシングを行い、月に一度は余分な毛をトリミング(毛のカット。美容室ではシャンプーも含めてトリミング。)します 。
  2. シルキーヘア
    マルチーズ、ヨークシャーテリアなどは保護用の下毛を持たず、皮膚も薄いため、裂傷を受けやすくなります。きついグルーミングに敏感です。
    まず、優しくスリッカーブラシで毛のほつれをといて、ブリストルブラシを使い、最後にくしで仕上げます。ブラッシングは毎日おこない、月に一度はトリミングをおこないます。
  3. 厚いショートコート
    ラブラドール・レトリバーはスリッカーブラシを使い、毛並に沿って毛のもつれをほどき、毛並みに逆らいながら、抜け毛を取り除きます。ブラッシングは週1回、換毛期には週2回行いましょう。


犬種、毛質によってグルーミングも様々です。単に外見の良さだけでなく、皮膚や毛質の状態は、愛犬の健康の指標にもなります。1ヶ月に一度は、愛犬美容室や、動物病院の美容室でトリミングすることをお勧めします。

イヌの味覚について臭覚・味覚

愛犬の味覚について考えます。味は舌と頬の内側にある味蕾(みらい)という器官で感じ ます。味蕾の数はイヌで約1700個、人で約9000個ですので、イヌの味覚は人と比べると、 あまり敏感ではないようです。

様々な味(甘味、塩味、酸味、苦味、旨味に対しての感受性)についてはどうでしょう。

甘味:甘味に対しては好きな場合が多いのですが、先天性と後天性とに分けられます。
後天性の場合は、飼い主が甘味を好物としている場合が多く、愛犬が糖分過剰気味となりますので愛犬は肥満や糖尿病のリスクを負います。

塩味:塩味は愛犬にとってあまり重要ではありません。そもそも、肉や内臓に含まれる塩 分で充分に補うことができます。人の嗜好品(フライドポテト、ポテトチップス、煎餅、 その他、菓子)を与えますと塩分過剰となり、心臓病、腎不全のリスクが高まります。

酸味:酸味も感受性があります。嗜好性はあまり高くないようです。

苦味:苦味はあまり好みません。自然界では苦味があるものは、毒のあるものや害のある ものが多いからです。動物病院で処方された薬に苦味があれば嫌うことが多いと思います。 その場合、シロップで溶かしたり、オブラートで包みます。また、錠剤で内服されます。

旨味:グルタミン酸ナトリウム、グアニル酸、イノシン酸などです。イヌは旨味の受容体 を備え、旨味自体はあまり強くありませんが、他の味を増幅し、後味を決める成分です。 母乳の中にも大量に存在していることが確認されています。

愛犬は生後6ヶ月までで、食べ物の食感や、風味の種類によって、その後の好みに影響を 与えます。その成長期の間は、人の食べ物や、嗜好品は与えない様にします。それ以降も 同様です。幼犬期、成犬期、老齢期と発育のステージに合わせたドックフードを選択しま す。かかりつけの動物病院で相談したり、ペットフードの会社(ヒルズ、ウオルサム等) のメーカーの相談窓口などを利用しましょう。

イヌの臭覚について臭覚・味覚

愛犬の臭覚について考えます。

おいしそうに見える食べ物もクンクンと匂いをかいで、プイと顔をそむけることを見かけることがあります。臭覚は食べ物を選択する手段なのです。
においは、食べ物を選択する第一歩であり、最大のものです。
臭覚を感じる細胞はジャーマンシェパードの2億個からコッカースパニエルの6700万個まで種差があり、数の多い方に感受性が高いのです。鼻が真っ直ぐなシェパードが、ボクサーのような鼻が短く曲がった犬種より敏感です。シェパードが警察犬で麻薬探知によく活躍するのも理解できます。
毛の色とも関係があり、色の濃い犬種が色の薄い犬種よりも臭覚が鋭い傾向があります。性別ではメスはオスより匂いに敏感です。性周期と性ホルモンに影響し、発情期には特定の匂いに対して敏感になり、避妊すると臭覚はかなり低下します。
年齢によっても臭覚の変化がおこります。成長とともに敏感になり、老化によって最も早く衰えます。これは鼻の粘膜の萎縮と神経組織が衰退することから起こります。

さて、食欲が落ちたり、食事を変えて食べないときはどうしたらよいでしょう?。
まず、試してみることは食事を暖めます。暖めることにより食べ物の匂いが強くなり、食欲を刺激します。好ましい温度はイヌの体温と同じくらいの約38度です。

イヌの皮膚病について2皮膚病

今回は、よくみられる皮膚病の治療についてお話します。
一般的に診断がついた場合、診断結果によって治療方法が異なることは、前回お話しました。
それぞれの診断による治療方法をご紹介します。

細菌感染症:抗生剤による単独投与。もしくは複合投与。炎症がある場合、抗炎症剤。 痒み(細菌が産性するプロテアーゼによる)がある場合、抗ヒスタミン剤。
選択する抗生剤は抗菌範囲の狭いものを第一選択として、症状を診ながら抗菌範囲の広い ものとしていきます。重度の膿皮症などは、感受性試験、菌培養試験など、あらかじめ抗 菌剤の選択をしてから投与します。動物医療でも耐性菌の出現が疑われています。

真菌感染症:抗真菌剤の投与。細菌の二次感染がある場合、抗生剤の併用をします。
また、最近のデータとして、ノミ発育阻害剤(ヌノフェロン、商品名プログラム)を使用 することにより、相乗効果が期待できます。

外部寄生虫(疥癬、毛包虫、など):イベルメクチンを投与。細菌感染もあれば抗生剤併用。 長期間の投与3〜4週は必要です。重度の場合、薬浴も必要です。

アレルギー:免疫抑制剤(ステロイド)の投与。抗ヒスタミン剤、不飽和脂肪酸の投与。 抗生剤の投与。重度のアトピーはシクロスポリンなど高度な免疫抑制剤 を投与します。
現在は、減感作療法などがあります。主として免疫抑制剤を使用しますが 少しずつ投与量を減らし、アレルゲンをなるべく回避します。 いずれの症例も薬用シャンプーを利用することがあります。
症状、診断にあわせることになりますので、獣医師から処方されたシャンプーをします。
間違っても人用を使わない様に!。イヌの皮膚は弱アルカリ性PH7.5です。人の皮膚は酸性なので、人用シャンプー では合いません。

イヌの皮膚病について1皮膚病

皮膚病の検査についてお話します。
皮膚病は、いろいろな原因があり、診断によって治療方法も違います。症状が似ているが 診断が違うこともあります。たとえば、以前に動物病院で皮膚病の治療をしていたことが あり、皮膚病の薬があったとします。そして最近に愛犬が、皮膚の痒みを訴え、皮膚炎を 起こしたとします。以前に使用した薬があるので使用します。これは正しい治療行為でし ょうか?大きな錯誤といえるでしょう。
たとえ、症状が落ち着いたとしても、偶然で あり、たまたま以前の疾患と類似していたに過ぎないのです。逆に悪化させる症例が多い のです。我々獣医師は、不確定な確率論で物事を推敲するのではなく、答えをはっきりさ せる検査で、確定診断の手法を用いるのです。検査の概念は、確定検査と治療的検査で大 別させます。

<確定検査>
櫛検査(ノミやしらみの補足)、テープ付着(爪ダニ)、顕微鏡検査(形態による判断) 培養検査(真菌、細菌の同定:繁殖するかどうかで有無をはっきりさせる) アレルギー検査(ハウスダスト、植物、肉、ノミ、花粉等の特異アレルゲンの検出) 血球計算、百分比検査(白血球数、タイプにより感染性、非感染性、アレルギー性を分類) 細胞診(局所麻酔あるいは、全身麻酔にて一部皮膚を摘出。検査センターにて病理診断) 病理診断とは、皮膚の構造、形態、病変により獣医病理学者によって病名を特定する作業。

<治療的検査>
検査不能(愛犬が興奮し検査が適用できない場合や、飼い主の希望により検査ができない 場合。あるいは獣医師が視診、皮膚臨床症状により、検査不要と判断した場合に限り、手 段として行う。臨床現場では、比較的多くある事象で、薬剤の反応を診ながら検査を兼 ねて、診断治療を進めて行きます。

イヌのワクチンについて2ワクチン

愛犬のワクチンについては、法定伝染病である狂犬病があります。生後90日以降の仔犬 から、国内では接種が義務とされています。1957年以降から国内では発生がありません。
しかしながら、海外では年間4〜5万人もの人が命を落としています。公衆衛生上の防疫 として、必ず接種する必要があります。

また、イヌ同士のみに感染するウイルスがあります。これらは、母親から受け継ついだ母 子免疫が弱くなる頃(2〜3ヶ月ごろから)にワクチンを接種することにより予防します。
死亡率の高いジステンパー(症状:高熱、目やに、嘔吐、下痢)や、パルボ(症状:激し い嘔吐、下痢、下血)などです。他に伝染性肝炎、アデノウイルス2型、パラインフルエ ンザウイルス、コロナウイルス、などです。

レプトスピラによる細菌感染は、人に伝染する人畜共通伝染病でもあります。
国内でも近年確認されました。愛犬へのワクチン接種は、狂犬病の接種を原則として行い、イヌ特有 の伝染病のワクチンは、飼育環境、行動に応じて種類を選択するのが良いでしょう。
また、ワクチンアレルギーも存在しますので、ワクチン接種後は経過観察が必要です。

イヌのワクチンについて1ワクチン

イヌのワクチンは、ウイルス感染症を防ぐ目的で接種されます。
ウイルスに対しての抗体 (抗原の侵入を受けた生体が、その刺激で作り出すタンパク質の総称。)を産生するために、 ワクチン接種します。抗体はその抗原(ウイルス等)だけに特異的(それだけに)に認識 して攻撃して溶解したり、毒素を中和したりします。よってワクチンは弱毒化したウイル ス抗原であり、生体内の抗体産生機能を低レベルに刺激して、再度同様な事態(実際のウ イルス感染)にリンパ組織などの免疫機能を最大に働きかけるのです。 いわば、一度生体に学習させ、ウイルスを撃退する手段を学ばせるのです。