ささき動物病院

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イヌの皮膚と被毛の手入れについて皮膚病

定期的なシャンプーやグルーミングは、愛犬の皮膚と被毛を健康に保ちます。また、皮膚や、被毛の異常を調べる機会でもあります。夏場など季節によってカットを変えるのも、よいでしょう。毛の多い愛犬は、短くカットすることにより快適になります。

今回は毛質によって、異なるグルーミング(毛の手入れ)方法を紹介します。

  1. ロングコート
    ラフ・コリーなどはスリッカーブラシで毛のもつれを防ぎます。十分なピンブラッシングの後、目の粗いくしをいれます。毎日ブラッシングを行い、月に一度は余分な毛をトリミング(毛のカット。美容室ではシャンプーも含めてトリミング。)します 。
  2. シルキーヘア
    マルチーズ、ヨークシャーテリアなどは保護用の下毛を持たず、皮膚も薄いため、裂傷を受けやすくなります。きついグルーミングに敏感です。
    まず、優しくスリッカーブラシで毛のほつれをといて、ブリストルブラシを使い、最後にくしで仕上げます。ブラッシングは毎日おこない、月に一度はトリミングをおこないます。
  3. 厚いショートコート
    ラブラドール・レトリバーはスリッカーブラシを使い、毛並に沿って毛のもつれをほどき、毛並みに逆らいながら、抜け毛を取り除きます。ブラッシングは週1回、換毛期には週2回行いましょう。


犬種、毛質によってグルーミングも様々です。単に外見の良さだけでなく、皮膚や毛質の状態は、愛犬の健康の指標にもなります。1ヶ月に一度は、愛犬美容室や、動物病院の美容室でトリミングすることをお勧めします。

イヌの皮膚病について2皮膚病

今回は、よくみられる皮膚病の治療についてお話します。
一般的に診断がついた場合、診断結果によって治療方法が異なることは、前回お話しました。
それぞれの診断による治療方法をご紹介します。

細菌感染症:抗生剤による単独投与。もしくは複合投与。炎症がある場合、抗炎症剤。 痒み(細菌が産性するプロテアーゼによる)がある場合、抗ヒスタミン剤。
選択する抗生剤は抗菌範囲の狭いものを第一選択として、症状を診ながら抗菌範囲の広い ものとしていきます。重度の膿皮症などは、感受性試験、菌培養試験など、あらかじめ抗 菌剤の選択をしてから投与します。動物医療でも耐性菌の出現が疑われています。

真菌感染症:抗真菌剤の投与。細菌の二次感染がある場合、抗生剤の併用をします。
また、最近のデータとして、ノミ発育阻害剤(ヌノフェロン、商品名プログラム)を使用 することにより、相乗効果が期待できます。

外部寄生虫(疥癬、毛包虫、など):イベルメクチンを投与。細菌感染もあれば抗生剤併用。 長期間の投与3〜4週は必要です。重度の場合、薬浴も必要です。

アレルギー:免疫抑制剤(ステロイド)の投与。抗ヒスタミン剤、不飽和脂肪酸の投与。 抗生剤の投与。重度のアトピーはシクロスポリンなど高度な免疫抑制剤 を投与します。
現在は、減感作療法などがあります。主として免疫抑制剤を使用しますが 少しずつ投与量を減らし、アレルゲンをなるべく回避します。 いずれの症例も薬用シャンプーを利用することがあります。
症状、診断にあわせることになりますので、獣医師から処方されたシャンプーをします。
間違っても人用を使わない様に!。イヌの皮膚は弱アルカリ性PH7.5です。人の皮膚は酸性なので、人用シャンプー では合いません。

イヌの皮膚病について1皮膚病

皮膚病の検査についてお話します。
皮膚病は、いろいろな原因があり、診断によって治療方法も違います。症状が似ているが 診断が違うこともあります。たとえば、以前に動物病院で皮膚病の治療をしていたことが あり、皮膚病の薬があったとします。そして最近に愛犬が、皮膚の痒みを訴え、皮膚炎を 起こしたとします。以前に使用した薬があるので使用します。これは正しい治療行為でし ょうか?大きな錯誤といえるでしょう。
たとえ、症状が落ち着いたとしても、偶然で あり、たまたま以前の疾患と類似していたに過ぎないのです。逆に悪化させる症例が多い のです。我々獣医師は、不確定な確率論で物事を推敲するのではなく、答えをはっきりさ せる検査で、確定診断の手法を用いるのです。検査の概念は、確定検査と治療的検査で大 別させます。

<確定検査>
櫛検査(ノミやしらみの補足)、テープ付着(爪ダニ)、顕微鏡検査(形態による判断) 培養検査(真菌、細菌の同定:繁殖するかどうかで有無をはっきりさせる) アレルギー検査(ハウスダスト、植物、肉、ノミ、花粉等の特異アレルゲンの検出) 血球計算、百分比検査(白血球数、タイプにより感染性、非感染性、アレルギー性を分類) 細胞診(局所麻酔あるいは、全身麻酔にて一部皮膚を摘出。検査センターにて病理診断) 病理診断とは、皮膚の構造、形態、病変により獣医病理学者によって病名を特定する作業。

<治療的検査>
検査不能(愛犬が興奮し検査が適用できない場合や、飼い主の希望により検査ができない 場合。あるいは獣医師が視診、皮膚臨床症状により、検査不要と判断した場合に限り、手 段として行う。臨床現場では、比較的多くある事象で、薬剤の反応を診ながら検査を兼 ねて、診断治療を進めて行きます。