ささき動物病院

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イヌの発情について発情・繁殖・出産

雌の愛犬では、生後6ヶ月から10ヶ月ぐらいで思春期を迎えますが、犬種によって差異があります。小型犬では5ヶ月、大型犬(ラブラドール等)では10〜16ヶ月。
超大型犬(セントバーナード、ピレネー等)は最初の発情期は2歳以上にならないと見られないことがあります。ほとんどの雌犬では発情は年2回あります。中には鈍性発情といわれるものがあり、発情が分かりにくいものがあります。(陰部の分泌物が少ない。外陰部の腫脹が目立たない)

発情周期は4期に分類できます。

  1. 発情前期:(4〜15日間) 外陰部腫脹、膣からの分泌、落ち着かない、交尾拒否。
  2. 発情期:(4〜8日間)膣からの分泌が無くなる。排卵、交尾を許す。
  3. 発情休止期:(6〜8週間)
    卵胞刺激ホルモンの消失:卵胞の刺激、発育を促進するホルモン。(FSH)
    黄体刺激ホルモンの減少:排卵を誘発するホルモン。(LH)
    プロゲステロンの生成:発情休止期のホルモン。
    エストロゲンの減少:膣からの分泌促進、子宮刺激、発情前期のホルモン。
  4. 無発情期:(15週間) 性ホルモンの活動停止 交尾拒否。

イヌの肝臓病について (肝臓腫瘍の症例ついて3)肝臓病

慢性肝臓病として、肝臓腫瘍がありますが、臨床症状は、体重減少や、嘔吐、腹水の貯留、下痢、嗜眠、などです。

腫瘍の形態として、原発性(その臓器から派生したこと)と転移性に分けられます。
原発性は肝臓の機能が低下するころには、腫瘍が拡大し摘出が困難で、症状があまり顕著でない場合もありますし、比較的小さな段階で門脈や胆管を圧迫して症状(黄疸、下痢、嘔吐)がみられる事があります。発生部位により、腫瘍による臨床症状が、変化することが特徴です。

転移性は、癌化した乳腺や腹膜(腹部臓器を包む膜)、脾臓から、リンパ節や血液を介して癌細胞が肝臓組織に移動し、肝臓腫瘍となります。
診断は、病歴の聴取、身体検査(腹部の触診など)、レントゲン検査、超音波検査、MRI、CT、バイオプシー(肝臓の一部の組織を採取すること)、にて診断します。悪性度の評価は肝細胞組織を病理検査にて判断します。最近、腫瘍マーカーにて肝臓腫瘍の存在を確認することも行われているようです。

イヌの肝臓病について (慢性肝炎の症例ついて2)肝臓病

慢性肝臓病として重篤なものとして肝臓の血管短絡(シャント)、肝臓腫瘍、肝臓アミロイド、肝臓腫瘍、胆嚢、胆管障害があります。では、今回は血管短絡について説明します。

1.肝臓の血管短絡は門脈(腸管から血液を肝臓に流す)と後大静脈(血液が心臓に戻る)の異常な血管結合です。腸管からの血液が肝臓で濾過されず、アンモニアなど毒素が脳に移行して(肝性脳症)を起こし、痙攣、嗜眠、旋回、発作、口渇、嘔吐などの症状が発現します。診断は、レントゲン検査、胆汁酸の測定、生化学検査(アンモニア値、揮発性窒素値など)、超音波検査、門脈造影にて判断します。

治療は、内科療法として静脈を確保し、点滴してアンモニアなどの毒素を希釈していきます。強肝剤やアンモニア産生を抑制するラクツロースの投与を試みます。食事療法として蛋白を制限し、消化率のよい肝臓専用の療法食を与えます。

外科療法は、原因となる血管短絡を結びます。しかしながら、高齢であったり、手術に適応できない場合は、内科療法で維持していくこともあります。根治治療は、外科療法をおこないます。

イヌの肝臓病について (慢性肝炎の症例ついて1)肝臓病

犬の種類においては銅貯蔵病など遺伝、犬種による特異性などが見られます。(ウエステイ、スカイテリア、ベドリントンテリア等)、慢性肝炎や肝硬変(ドーベルマン)、慢性肝炎のリスク増大(コッカースパニエル)などです。

薬物による影響は、吸入麻酔薬(ハロセン)、鎮痛薬、抗痙攣薬(フェノバール)、抗真菌薬、非ステロイド抗炎症薬、などです。ゆえに、肝臓疾患のある愛犬や、老齢犬には、慎重な投与と、血液検査などが必要になります。食物中の毒素(カビ毒アフラトキシン)や、重金属、化学物質の摂取などは、肝臓では分解できず肝細胞の破壊が起こります。これは急性期から慢性期に移行します。治療は胆汁の排泄を促すウルソデオキシコールの投与や、タチオンなど肝臓細胞の活性化をする薬剤の投与になります。

イヌの肝臓病について1肝臓病

肝臓の病気は、近年増加傾向にあります。
原因として愛犬の高齢化、多食、飽食。人の食べ物を与えてしまう偏愛。植物や不凍液、有機溶剤の誤飲。遺伝による肝臓血管の構造異常(門脈シャント)。などが挙げられます。

肝臓は、体重の2%を占める大きな臓器です。栄養の貯蔵、産生や解毒能力もあります。
ただし、沈黙の臓器といわれ、80%以上の肝臓細胞が障害されないかぎり、臨床症状がでてきません。よって症状が表れたときは、肝臓病が進行している状態です。

肝臓病の初期症状は、食欲不振、体重減少、元気消失、嘔吐や下痢などが多く、根本原因を、見過ごしてしまうことがあります。
進行した状態では、黄疸や腹水、肝性脳症など肝不全症状が確認されます。
どうしたら、肝臓病の早期発見し治療をおこなうか?。できれば、定期検診(血液検査)などをおこなうことが望ましいといえます。

<各疾患について>
大きく分けて急性と慢性に分けられます。
急性の症状は嘔吐、下痢、痙攣、発作。原因はウイルス、薬物の副作用、外傷、熱射病、敗血症、血液循環不全。診断は血液検査や、レントゲン検査によって確認します。

肝臓の酵素活性(ALT、ALKP、AST)の上昇。血糖値の低下、コルステロールと胆汁酸値の上昇です。治療は入院が原則で、点滴治療と薬物治療になります。レントゲンにより、肝臓の形態を確認します。(肥大など)

慢性の症状は、ほとんど症状を示さないのが特徴です。症状は少しずつ表れ、体重減少食欲減退、飲水量と尿量の増加があり、病状が進行すると黄疸が表れます。臓器組織に沈着します。尿は胆汁色(ブラウン色)、糞便は灰白色で、脂肪が多く含まれます。

腹水、四肢の浮腫も見られます。アンモニアによる肝性脳症が表れ意識障害、痙攣、発作
の所見があります。

イヌの消化器系の病気について (下部消化器15)消化器系

便秘の症例と、その治療について

偽宿便:長毛の犬種で、会陰部周辺に発生します。手入れ不足で、汚染便が肛門を塞ぐ状態となり便秘が起きます。ハエウジ症の原因でもあります。
治療は、痛みを伴うこともありますので、鎮静、もしくは麻酔にて処置します。便の塊は、少しずつ剥離していきますが、皮膚に感染があり、強度の炎症があります。局所消毒を施し、抗生剤、抗炎症剤を投与します。再発を防ぐために毛の手入れは欠かさず行います。

巨大結腸症:原因として、先天性の筋層間神経の変性によるもの。後天性として、便の 貯留による結腸アトニー(麻痺)。直腸または肛門の腫瘍。偽宿便。会陰ヘルニア。自律神経障害などです。
治療は内科的治療があります。宿便除去後、予防的治療として高繊維食や、ピコスルファート(下剤)の投与。結腸平滑筋の運動促進のためにモサプリドの投与をおこないますが、定期に宿便除去をおこなわないと排便維持ができないようです。先天性や長期にわたる後天性の巨大結腸は結腸の運動機能が回復することはなく、外科切除を検討します。
直腸の機能が正常であれば排便機能を維持できますが、状態によって下痢がつづくことがあります。

次回もひきつづいて、便秘の症例を紹介していきます。

イヌの消化器系の病気について (下部消化器14)消化器系

便秘について

便秘は、糞塊が直腸、肛門を通過しにくくなる状態で、直腸による水分吸収が進行して、なおさら乾燥し堅固になる状態です。蠕動運動は初期には亢進しますが、徐々に運動は低下していきます。
原因として、結腸内の異物(骨、毛など)、骨盤の変形(骨折など)、腫瘍、前立腺の肥大自律神経障害、会陰ヘルニア、食物の性質などです。
臨床症状は、排便が数日間なく、しぶりや食欲不振。嘔吐などがあります。
進行すると脱水症状がおきて、沈うつ状態となります。
診断では、腹部を触診すると下行結腸が大きく膨らんでいるのがわかります。
直腸診断により、直腸の糞塊の有無、狭窄か、会陰ヘルニア、肛門腺炎、骨盤狭窄など便秘にいたる原因と状況が把握できます。レントゲン検査、バリウム等はこの直腸診断によって、2次的に行います。
進行すると肛門組織は腫脹し、直腸脱も併発することもあります。

次回は便秘の治療と、原因疾患についてお話します。

イヌの消化器系の病気について (下部消化器13)消化器系

好酸球性結腸炎がありますが、結腸にとどまらず、胃、小腸、大腸と広範囲に症状が起こります。免疫疾患のひとつでもあります。臨床診断では、血中の好酸球が増加し、血便や、しぶりがあります。治療は、低アレルギー食、免疫抑制剤の投与です。

腸過敏症候群は環境の変化に対応できずに発症します。転居。飼い主の不慮の逝去。飼い主の変更家庭内の新しい家族(新生児や、新しい愛犬)。工事、騒音、悪臭(塗料など)。臨床診断では、糞便検査、血液検査、生検(結腸)ですが、特徴的な病変があまりなく異常所見はありません。消去法にて腸過敏症候群と判断します。治療は、犬の特徴、性質。ストレス因子の除去が可能か。下痢の臨床上の特徴から治療を進めていきます。

まず、ストレス因子を除去することです。ただし、家庭内のストレス因子は除去しにくいので、分節収縮を促進させる薬剤の投与が効果的であります。また、食物繊維を増加させることは、結腸の運動リズムを良好にします。興奮しやすく神経質な愛犬は、鎮静剤を投与します。生涯にわたる治療と考えて、ストレス因子を見極め、除去する努力は怠らないことです。

次回は便秘についての原因についてお話します。

イヌの消化器系の病気について (下部消化器12)消化器系

寄生虫性結腸炎は、鉤虫、鞭虫(回虫と同属の線虫類)によって結腸の粘液成分が増加(結腸の杯細胞が過形成を起こすため)、場合によっては水様性下痢や、血液が混入します。

診断は、糞便検査による虫卵確認。血液検査(白血球の好酸球増加)。診断がつかない場合、内視鏡検査、生検をおこないます。治療は、駆虫剤フェンベンダゾール、コンバントリンなどです。

組織球性結腸炎はボクサー、フレンチブルドックで報告されています。結腸の粘膜に、組織球の存在と粘膜潰瘍が見られます。症状は、下痢、新鮮血と、粘液があり、体重減少が起こります。血液検査では白血球の増加と、低アルブミン血症と、高ガンマグロブリン血症がみられます。内視鏡検査にて潰瘍を確認し、組織標本(生検)を採取して、PAS染色陽性で組織球が確認されたうえで診断します。治療は、サルファサラジン、タイロシン、テトラサイクリン、クロマイなどです。長期投与が必要です。場合により生涯治療が必要かもしれません。

肉芽腫性結腸炎は、回腸と大腸に限局した肉芽発生が特徴です。出血便や発熱。嘔吐、体重減少があり、重症例では遠位結腸や直腸に排便の通過障害が起きてしまい、便秘、しぶり、排便困難、血便を招いてしまいます。

診断はバリウム造影や、エコー、内視鏡などです。瀰漫型(ところどころにある場合)は結腸全体を内視鏡で確認する必要があります。治療は外科による切除です。瀰漫性の場合は、サルファサラジン、プレドニゾロン、タイロシンなどです。予後は不良で、再発性の高い疾患です。

次回もひきつづき症例紹介いたします。

イヌの消化器系の病気について ( 下部消化器11)消化器系

大腸の多くを占める結腸は、水分、電解質の吸収、および糞便を貯蔵することが 臓器としての仕事であります。その仕事がうまくいかなくなると、下痢、しぶり、 排便困難、出血、結腸由来による嘔吐、便秘が起きます。 それらの結腸疾患を説明します。

急性結腸炎:原因は腐敗した食事の摂取。ごみ、骨などの擦過。
サルモネラ、カンピロバクターなどの病原菌による感染などです。
症 状:大量の水様性下痢を起こします。しぶりが多く認められます。
治 療:抗菌剤の投与。脱水があれば、水分供給と電解質の補給。
サルファサラジンの投与。

特発性結腸炎:犬の慢性下痢として多く見られ、症候群として認識されます。
ジャーマンシェパード、コリー、ラブラドールに多く見られます。
特発性結腸炎は原因が特定されることはありません。
しかしながら、食物因子が大きく関与しているようです。
食事療法のみで改善する場合があります。
他原因として、サルモネラ、カンピロバクター、高窒素血症、
小腸性腸炎からの影響(胆汁や、脂肪の流入)、
二次的な免疫介在腸炎、寄生虫、などです。
症 状:食欲、元気はありながら、粘液を多く含んだ水様性下痢を呈します。
嘔吐、血便を伴うのは30%前後になります。確定診断は内視鏡です。
治 療:サルファサラジンの投与。改善されなければプレドニゾロン。
それでも反応がなければ、メトロニダゾール。いずれも細胞性免疫を抑えます。
食事療法は蛋白制限食(処方食)を与えます。再燃の危険性が高いので
食事管理をしっかりして、蛋白制限食を継続するのが望ましいと思います。
理由として、特発性結腸炎の本当の原因が特定できてなく、
食事因子が大きく占めるので、少なくとも処方食を継続します。

次回も引き続き結腸疾患の症例を説明します。